工程から学ぶ半導体

半導体ができるまで

作る順番をたどり、担い手の会社を知る。

18の章 · 159社・事業日本 137 / 海外の代表 22教材作成 2026.10.01
この学習ルートの読み方と情報の時点

一本道で読み進め、気になる企業だけ枝ページを開く構成です。閉じると読んでいた工程へ戻れます。点線の付いた用語は、その場で説明を開けます。

図は代表的な構造を単純化したものです。材料とマスクは別に準備して合流し、前工程は同じ基本操作を目的に応じて繰り返します。全製品を一つの製造レシピで説明するものではありません。

添付の初学者向け図解資料(原調査基準日2026年9月29日)と、既存の企業辞典(同9月26日)を基に再構成しました。追加確認の資料は各社に掲載しています。作成日は、全企業の業績・所有関係を一斉に更新した日ではありません。

全18章の目次

01 / 18設計する

どんな半導体を作る?

まず、完成品に必要な「働き」を決める。計算する部品も、記憶する部品も、電力を扱う部品も半導体です。

受け取るもの機器で実現したい機能
この工程の仕事性能・電力・大きさを決める
次へ渡すもの半導体の製品仕様
01 機器の要求撮る・計算する・記憶する
01 機器の要求。撮る・計算する・記憶する計算記憶電源
02 回路で実現役割に応じた半導体を選ぶ
02 回路で実現。役割に応じた半導体を選ぶ機能は製品ごとに違う
03 部品を組み合わせる複数種類で一つの機器になる
03 部品を組み合わせる。複数種類で一つの機器になる

理解のために形・寸法・工程を単純化した模式図です。特定製品の製造レシピや採用品を示しません。

半導体は、電気の通りやすさを調整できる材料であり、その性質を使った電子部品の呼び名でもあります。スマートフォンの中には、計算、記憶、撮影、通信、電源管理を担う異なる半導体が入っています。

このルートでは、シリコンの円板に回路を作り、切り分け、外部と接続できる部品にする基本を順番に学びます。全製品が同じ製法ではありません。メモリ、パワー半導体、センサーの違いは、各章の補足で確認できます。

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半導体
電気の通しやすさを、材料への少量の添加や電圧などで調整できる物質。日常・業界では、その性質を使った電子部品も「半導体」と呼ぶ。
トランジスタ
電気信号によって電流を制御する素子。オン/オフを切り替えるスイッチとしても、小さな信号を大きくする増幅器としても使う。
ロジック
0と1で表した情報を使い、計算・判断・制御を行う回路。CPUやGPUはロジック半導体の代表例。
DRAM
Dynamic Random Access Memory。小さな蓄電部にためた電気で情報を保つメモリ。電源が必要で、情報を保つため定期的に読み直して書き戻す。
NAND
ここではNAND型フラッシュメモリの略。電源を切っても情報を保てる記憶回路で、大容量の保存装置に広く使う。
パワー半導体
電力の流れを切り替えたり変換したりする半導体。情報の計算よりも、電圧・電流を効率よく扱うことが主目的。
イメージセンサ
光を電気信号へ変え、画像として読み出す部品。画素は画像の明暗や色をとらえる小さな検出単位。
MEMS
Micro Electro Mechanical Systems。半導体の微細加工を応用して、微小な可動部・膜・空洞などと電気回路を組み合わせる技術・部品。

この工程を担う企業

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代表例を工程・製品の役割で配置しています。掲載順は市場シェアや優劣の順位ではなく、企業間の供給関係を断定するものでもありません。

仕組みとビジネスを、もう一段詳しく

計算・記憶・電力・検出は別の市場

ロジックは計算や制御、DRAMは電源を必要とする作業用の記憶、NANDは電源を切っても残る保存用の記憶。パワー半導体は大きな電力の変換を担います。カメラのイメージセンサーと微小な機械構造を使うMEMSも、先端CPUの縮小競争とは評価軸が違います。

日本企業を読むときの入口

ルネサスは制御と周辺アナログ、キオクシアはNANDとSSD、ソニーの半導体部門は撮像・センシング、ローム・三菱電機・富士電機・東芝は電力制御への接点を持ちます。製品の役割と、会社全体の事業範囲の両方を企業欄で確認してください。

理解を確かめる:GPU、DRAM、パワー半導体を、同じ「計算する部品」と考えてよい?

役割が違います。計算、情報の保持、電力の制御を分けると、材料・装置・顧客の違いが見えてきます。

出典・確認範囲

工程の説明と企業の製品情報に用いた資料です。関連企業の掲載は、特定の顧客への採用・取引額・供給比率を意味しません。

02 / 18設計する

回路を設計する

設計会社が「どんな回路を、どう配置するか」を決める。設計ソフトと回路の設計部品を使って、作れる形へ落とし込みます。

受け取るもの製品の仕様
この工程の仕事設計・検証・配置配線
次へ渡すもの工場で作れる回路データ
01 機能を回路へ計算・記憶・入出力を分ける
01 機能を回路へ。計算・記憶・入出力を分ける入力演算記憶出力
02 配置と配線素子を置き、信号をつなぐ
02 配置と配線。素子を置き、信号をつなぐ
03 製造条件と照合PDKに合わせて検証する
03 製造条件と照合。PDKに合わせて検証するPDKと照合

理解のために形・寸法・工程を単純化した模式図です。特定製品の製造レシピや採用品を示しません。

EDAは回路設計や動作確認を支援するソフトウェア。IPは再利用できる回路の設計部品です。建物にたとえると、EDAは設計道具、IPは検証済みの設計ユニットに近く、どちらも完成したチップそのものではありません。

設計会社と製造会社は、PDKという製造条件の情報を使って接続します。工場が作れる線や間隔、素子の特性を前提に設計し、動作・消費電力・製造可能性を確かめます。設計データは後でフォトマスクの製造にも使います。

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ファブレス
自社の半導体製造工場を持たず、設計や製品開発を担う企業。製造は外部の受託メーカーなどに依頼する。
EDA
Electronic Design Automation。回路の設計や動作確認、素子の配置・配線などを支援する専用ソフトウェア。
IP
Intellectual Property。ここでは、再利用できる回路の設計部品を指す。完成した物理チップではなく、設計へ組み込む「ひな型」に近い。
PDK
Process Design Kit。特定の製造工程で作れる形状、素子の動作モデル、配線の制約などをまとめた設計用情報・ツール一式。設計と工場をつなぐ。
SoC
System on a Chip。計算、記憶、通信など、システムに必要な複数の機能を1つのチップへ集積したもの。
PPA
Performance・Power・Area、すなわち性能・消費電力・面積。同じ比較条件の下で、速さ、電力、小ささの釣合いを見る指標。

この工程を担う企業

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IDM・ファブレス・ファウンドリの分担

IDMは設計と製造を担う企業。ファブレスは自社の半導体工場を持たず、製造を外部へ委託する企業です。ファウンドリはその製造を請け負います。IDMでも一部工程を外注するため、完全内製と同義ではありません。

設計採用から売上までの時間差

受託開発では設計段階の収入と量産後の製品売上を分けます。IPでは契約時の利用料と生産量等に応じたロイヤルティを分けます。顧客の採用発表は、量産数量や売上の保証ではありません。

図研とチップ内部のEDAは担当が違う

図研の重要な領域は、チップを載せるプリント基板や電子システムの設計です。半導体の内部回路を設計するツールと、完成チップを組み合わせる設計を同一市場として数えないことが大切です。

理解を確かめる:Armの設計IPと、Armの設計を組み込んだチップは同じ商品?

異なります。IPは設計に使う資産で、チップはその設計を製造した物理的な製品です。

出典・確認範囲

工程の説明と企業の製品情報に用いた資料です。関連企業の掲載は、特定の顧客への採用・取引額・供給比率を意味しません。

03 / 18土台を用意する

材料を精製し、結晶を育てる

回路の土台を作るため、高純度のシリコンから、原子の並びがそろった大きな結晶を育てます。

受け取るもの高純度の多結晶シリコン
この工程の仕事溶かす・単結晶を育てる
次へ渡すもの円柱状のインゴット
01 原料を用意不純物を抑えた多結晶
01 原料を用意。不純物を抑えた多結晶高純度のシリコン原料
02 結晶を引き上げる種結晶の並びを引き継ぐ
02 結晶を引き上げる。種結晶の並びを引き継ぐ溶液から結晶を引き上げる
03 円柱の結晶へ直径・抵抗率・欠陥を管理
03 円柱の結晶へ。直径・抵抗率・欠陥を管理円柱状の単結晶

理解のために形・寸法・工程を単純化した模式図です。特定製品の製造レシピや採用品を示しません。

ウェーハは、回路をまとめて作るための薄い円板です。その前段階では、多結晶シリコンを原料に、単結晶の円柱であるインゴットを作ります。原料メーカーと、結晶を育ててウェーハへ加工するメーカーを分けて考えましょう。

代表的なCZ法では、石英の容器で原料を溶かし、小さな種結晶を液面につけて引き上げます。温度、回転、引上げ速度などを管理し、原子の並びをそろえた結晶を育てます。容器、加熱材、断熱材も重要な供給品です。

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シリコン(Si)
元素「ケイ素」のこと。Siは化学記号。回路を作る代表的な半導体材料で、樹脂材料の「シリコーン」とは異なる。
ウェーハ
回路をまとめて作り込むための薄い円板。代表例はシリコン製で、1枚の上に同じ回路を多数並べて製造する。
単結晶・多結晶
単結晶は原子の規則的な並びが全体でそろった結晶、多結晶は向きの異なる結晶の集まり。並びの方向を結晶方位、乱れを結晶欠陥という。
石英るつぼ/種結晶
石英るつぼは原料を溶かすための高純度容器。種結晶は原子の並びの基準となる小さな結晶で、それに続く形で大きな結晶を育てる。
CZ法/FZ法
CZはチョクラルスキー法で、溶かした原料から種結晶を引き上げて育てる方法。FZはフローティングゾーン法で、棒状原料の一部を溶かす領域を移動させて単結晶化する方法。
インゴット
結晶を育ててできた大きな塊。シリコンウェーハでは、主に円柱状の単結晶インゴットを薄く切って円板にする。
抵抗率
材料自体の電流の流れにくさを示す量。部品の長さや太さで変わる抵抗値とは分けて考える。添加物の種類や濃度などで調整する。

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半導体用と太陽電池用を分ける

多結晶シリコンという同じ名前でも、要求品質、顧客認定、供給契約が異なります。太陽電池向けの市況を、そのまま半導体級の販売価格へ当てはめないようにします。

SiC・GaNは同じ工程をそのまま使う?

ここではSiの代表工程を説明しています。SiCは結晶育成や加工が異なり、GaNは別の基板上へ結晶層を育てる構成もあります。「材料の変更」は原料だけの置換ではありません。

理解を確かめる:トクヤマとSUMCOは、この流れで同じものを売る?

この流れでは、トクヤマは主に原料の高純度多結晶シリコン、SUMCOは回路の土台となる完成ウェーハを供給します。

出典・確認範囲

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04 / 18土台を用意する

結晶を切り、平らな円板にする

大きな結晶を薄く切り、傷んだ層や汚れを除き、回路形成に適した表面を作ります。

受け取るものインゴット
この工程の仕事切断・形状加工・研磨・洗浄
次へ渡すもの回路を作る前のウェーハ
01 薄く切るまだ表面に加工の傷がある
01 薄く切る。まだ表面に加工の傷がある円柱状の単結晶
02 表面を整える厚さ・平坦度・清浄度を管理
02 表面を整える。厚さ・平坦度・清浄度を管理研磨材で表面を整える
03 完成ウェーハまだチップの回路はない
03 完成ウェーハ。まだチップの回路はない回路は、これから作る

理解のために形・寸法・工程を単純化した模式図です。特定製品の製造レシピや採用品を示しません。

インゴットを薄く切っただけでは、回路を作るには不十分です。端部を整え、厚さと平坦度をそろえ、加工で傷んだ表面を取り除き、鏡面のように研磨します。洗浄・検査を経て材料としてのウェーハが完成します。

顧客が必要とする性質に応じて、表面に結晶層を追加するエピタキシャル加工なども行います。300mm・200mmは円板の直径の区別。2nmなどの製造技術の世代名とは別の軸です。

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エピタキシャル成長
土台の結晶の並び方を引き継いで、その上へ新しい結晶の層を育てること。「エピ」はこの成長法や、作った層の略称。
面取り・ラップ・鏡面研磨
面取りは端を丸めて欠けを防ぐ加工、ラップは研磨材で厚さ・平面を整える加工、鏡面研磨は表面を非常に滑らかに仕上げる加工。ポリッシュドウェーハは鏡面研磨したウェーハ。
加工変質層/損傷層
切断や研削などで結晶が傷み、元の状態から変わった表面付近の層。後の工程へ悪影響を残さないよう除去・改善する。
研磨パッド/スラリー
研磨パッドは表面をこする側の部材。スラリーは微粒子や薬液を含む研磨用の液体。両者と加工条件の組合せで仕上がりが変わる。

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材料ウェーハの研磨と、回路形成中のCMP

どちらも表面を整える加工ですが、ここでは回路を作る前の土台を仕上げます。第12章のCMPでは、既にパターンがある複数材料の膜を扱い、残したい材料を選びながら平坦化します。

研磨材の上流にも日本企業がある

フジミは研磨材やCMPスラリー、扶桑化学はスラリー原料となる超微粒子のシリカなどを担います。材料原料と、配合された完成研磨液と、完成ウェーハの売上を二重に市場規模へ足さないようにします。

理解を確かめる:ウェーハを出荷する会社は、その上のCPUも作っている?

必ずしもそうではありません。SUMCOなどの材料メーカーから、回路を形成する工場へウェーハが渡ります。

出典・確認範囲

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05 / 18土台を用意する

設計を、転写用の原版にする

設計データから、光で回路の模様を写すための原版「フォトマスク」を作ります。ウェーハとは別に準備し、露光工程で合流します。

受け取るもの設計データ+マスクブランクス
この工程の仕事パターン描画・加工・検査
次へ渡すもの露光に使うフォトマスク
01 原板を用意ブランクス:まだ模様がない
01 原板を用意。ブランクス:まだ模様がない原版の模式図
02 電子線で描く設計に応じた模様へ加工
02 電子線で描く。設計に応じた模様へ加工原版の模式図
03 検査して工場へウェーハの露光工程で使用
03 検査して工場へ。ウェーハの露光工程で使用原版の模式図

理解のために形・寸法・工程を単純化した模式図です。特定製品の製造レシピや採用品を示しません。

マスクブランクスは、まだ回路の模様がない原材料。そこに電子線などでパターンを描き、加工・検査するとフォトマスクになります。HOYAなどのブランクス企業と、テクセンドなどの完成マスク企業は担当が違います。

露光ではマスクを物理的に押し付けるのではなく、光学系で像をレジストへ転写します。EUV露光では反射型マスクを使います。マスクの模様は、光学的なゆがみを見越して補正されるため、最終回路の形と同じとは限りません。

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フォトマスク
転写したい回路のパターンを持つ原版。露光装置を通じて像をウェーハ上へ写す。物理的に押し付けるハンコではない。
マスクブランクス
回路の模様をまだ描いていないフォトマスクの原材料。平らな基板と、遮光・反射などを担う膜からなる。
DUV/EUV
露光に使う光の区分。DUVはDeep Ultraviolet(深紫外線)、EUVはExtreme Ultraviolet(極端紫外線)。半導体用EUVは波長13.5nmで、反射型の光学系を使う。
OPC/ILT
OPCは光学近接効果補正で、写したときの形のゆがみを見越して原版を補正する。ILTはInverse Lithography Technologyで、望む転写像から逆算して原版の形を最適化する。
電子線描画
細い電子のビームで感光材料へ模様を書き込む方法。フォトマスクの製造などで使い、ウェーハを光で露光する装置とは別。
ペリクル
マスクの近くへ張る薄い保護膜。粒子がマスクの模様の面へ直接付くことを抑え、転写への影響を小さくする。

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内製と外注だけで製造の強さは決まらない

自社のマスク部門を持つ工場も、外部の専門会社や合弁を使う工場もあります。内外製の選択だけで歩留まりを順位づけず、必要な品質・納期・設計支援が得られるかを確認します。

EUVでマスク枚数は必ず増える?

回路の複雑化は増える方向に働きますが、従来の複数回加工をEUVでまとめれば減ることもあります。ノード名だけで枚数やマスク企業の売上を推定できません。

理解を確かめる:HOYAのマスクブランクスとテクセンドのフォトマスクは同じ商品?

前者は模様を描く前の原板、後者は設計に合わせて模様を作った原版です。

出典・確認範囲

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06 / 18回路を作る

工場に材料・装置をそろえる

回路を作るのは工場を持つメーカー。装置・材料・水・ガス・搬送がそろい、安定して動いて初めて量産できます。

受け取るもの設計・ウェーハ・工程条件
この工程の仕事装置と工場インフラを統合
次へ渡すもの安定して加工できる製造ライン
01 工場を整える水・ガス・空気・電力
01 工場を整える。水・ガス・空気・電力製造ラインと供給設備
02 円板を安全に運ぶ装置間の搬送と保管
02 円板を安全に運ぶ。装置間の搬送と保管ウェーハを守る容器と搬送
03 加工と検査を反復次章から基本操作を学ぶ
03 加工と検査を反復。次章から基本操作を学ぶ膜を作る形を作る洗う測る反復

理解のために形・寸法・工程を単純化した模式図です。特定製品の製造レシピや採用品を示しません。

TSMCのようなファウンドリは、顧客から預かった設計をウェーハ上に作ります。ルネサスなどのIDMは自社製品の設計と製造を持ち、外部委託も組み合わせます。東京エレクトロンなどは、その工場が使う装置を売る企業です。

工場内では清浄な空気、超純水、高純度ガス、真空、温度制御、汚れを出さない搬送が必要です。この章の後に続く成膜から計測までの工程は、作る構造に応じて順序や回数を変えながら繰り返されます。

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ファウンドリ
他社から預かった回路設計に基づき、半導体の製造を請け負う企業・事業。顧客の製造部門に相当する役割を担う。
IDM
設計・製造・販売を一体で行う半導体メーカー。Integrated Device Manufacturerの略で、一部の製造や組立を外部委託する場合もある。
量産認定
材料・工程・製品が要求仕様を満たし、継続して製造・出荷できるかを顧客などが確認すること。試作品が一度動いた段階とは異なる。
前工程
主にウェーハ上へ素子と配線を作り込む工程。回路を作る段階であり、完成ダイを組み立てる段階とは分けて考える。
Fab(ファブ)
Fabrication facilityの略で、半導体を製造する工場。Fablessの「less」は、そうした自社製造工場を持たないという意味。
超純水
イオン、粒子、有機物などを極めて少なくした水。汚染に弱い半導体の洗浄などに使う。
Fabサイクルタイム
ウェーハを工場へ投入してから所定の加工を終えるまでの時間。実際の加工だけでなく、搬送・待機・検査なども含む。設計から量産までの開発期間とは別。
名目能力/良品能力
名目能力は設備の仕様等からみた生産能力。良品能力は、実際に要求仕様へ合格する製品をどれだけ供給できるか。立上げ中は特に両者が異なる。

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製造工程は、この順番を一周するだけではない

次の第7〜13章は基本操作を理解するための学習順です。実際には、洗浄、成膜、加工、熱処理、計測などを目的に合わせて組み合わせます。素子を作った後にも、配線や実装で似た操作が登場します。

装置に組み込まれる日本企業

堀場製作所はガス流量制御、フジキン・CKD・KITZは流路・バルブ、SMCは空気圧や温調、フェローテック・MARUWA・NGKなどは石英・セラミックス部材に接点があります。完成装置メーカーへの出荷と、工場の消耗・交換需要を分けて考えます。

JASMとRapidusの位置づけ

JASMはTSMC傘下の日本の製造会社。Rapidusは先端ロジックの開発・量産化を進める企業です。原資料の2026年9月時点では、Rapidusの2027年量産は会社目標として扱います。試作で素子が動くことと、顧客製品の量産採算を区別します。

理解を確かめる:東京エレクトロンはTSMCと同じ受託製造会社?

違います。東京エレクトロンは製造装置を供給し、TSMCはそのような装置・材料を組み合わせて顧客の半導体を製造します。

出典・確認範囲

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07 / 18回路を作る

表面に薄い膜を作る

電気を通す、通さない、特定の働きをする。その役割に合わせて、表面に薄い材料の層を作ります。

第7〜13章は基本操作を学ぶ順番です。実際は構造に応じて順序・回数を変え、洗浄・計測等を挟んで繰り返します。

受け取るもの加工途中のウェーハ+膜の原料
この工程の仕事表面へ薄い材料を形成
次へ渡すもの次の加工に使う薄膜
01 下地を用意表面の清浄度も重要
01 下地を用意。表面の清浄度も重要シリコンの土台
02 原料を供給表面で反応・付着
02 原料を供給。表面で反応・付着シリコンの土台
03 薄膜ができる膜厚・性質・均一性を管理
03 薄膜ができる。膜厚・性質・均一性を管理シリコンの土台

理解のために形・寸法・工程を単純化した模式図です。特定製品の製造レシピや採用品を示しません。

成膜は材料の表面へ薄い層を付ける工程です。金属の膜、電気を通しにくい絶縁膜、半導体の膜を使い分けます。膜を作る装置と、装置へ供給するガス・液体原料・固体原料は別の商品です。

CVDはガスの反応、ALDは表面で起こる反応の繰り返し、PVDは物理的に飛ばした材料の付着を利用します。深い穴や立体的な形にも必要な厚みを付けるため、膜質・均一性・処理時間を同時に管理します。

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絶縁膜
電流が意図しない場所へ流れるのを防ぐための薄い層。絶縁は電気を通しにくくすること。
酸化・熱酸化
酸素との反応を利用すること。シリコンの熱酸化は、加熱した表面を酸素や水蒸気と反応させて酸化膜を作る代表的な方法。
成膜
材料の表面へ、非常に薄い層を作ること。電気を通す金属膜、通しにくい絶縁膜、半導体膜などを目的別に形成する。
パージ/自己停止反応
パージは不要なガスや反応生成物を追い出す操作。自己停止反応は、表面の反応できる場所が埋まると進みにくくなる反応で、ALDの膜厚制御に利用する。
CVD/ALD/PVD
薄膜を作る方式。CVD(化学気相成長)はガスの化学反応、ALD(原子層堆積)は自己停止する表面反応の繰返し、PVD(物理気相堆積)は物理的に飛ばした材料の付着を使う。
前駆体
化学反応を起こして目的の膜を作るための原料。成膜後に残る物質と同じとは限らず、不要な反応生成物は除去する。
被覆性
凹凸や深い穴の側壁・底まで、必要な膜をどれだけ連続・均一に付けられるかという性質。
スパッタリング/ターゲット
スパッタリングは固体へ粒子を衝突させ、飛び出した原子を表面へ付けて膜を作る方法。原子の供給源となる固体がターゲット。

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バッチ式と枚葉式

バッチ式は複数枚をまとめて処理し、枚葉式は基本的に1枚ずつ処理します。KOKUSAI ELECTRICはバッチ成膜・熱処理に特色があります。まとめて処理する枚数だけでなく、膜の均一性や処理時間、対象の構造をそろえて比べます。

ALD原料と出来上がる膜は同じ物質ではない

前駆体は目的の膜を作るための原料です。表面反応で必要な成分を残し、不要な成分を除きます。ADEKAやトリケミカルの製品は、どの膜・どの工程で採用されるかが需要の入口になります。

3D NANDとDRAMでは何が難しい?

3D NANDは記憶構造を縦に増やし、深い穴の加工や厚い積層膜が課題になります。DRAMは小さな面積で電荷を保持するため、高く細い構造や薄い絶縁膜が重要です。HBMの完成ダイ積層とは、積む対象が違います。

理解を確かめる:薄膜の材料を売る会社と成膜装置を売る会社の需要は、同じタイミングで動く?

必ずしも同じではありません。装置は主に能力増強・技術更新、材料は採用後の加工量や使用工程数にも左右されます。

出典・確認範囲

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08 / 18回路を作る

光で加工する場所を決める

感光する材料を塗り、光で性質を変え、一部を溶かす。まだ下の膜を削る工程ではありません。

第7〜13章は基本操作を学ぶ順番です。実際は構造に応じて順序・回数を変え、洗浄・計測等を挟んで繰り返します。

受け取るもの薄膜付きウェーハ+マスク
この工程の仕事レジスト塗布・露光・現像
次へ渡すもの加工場所が開いた保護パターン
01 レジストを塗る紫色が感光する層
01 レジストを塗る。紫色が感光する層シリコンの土台
02 必要な場所へ光光で溶けやすさが変わる
02 必要な場所へ光。光で溶けやすさが変わるシリコンの土台
03 現像で開口下の膜はまだ残っている
03 現像で開口。下の膜はまだ残っているシリコンの土台

理解のために形・寸法・工程を単純化した模式図です。特定製品の製造レシピや採用品を示しません。

最初にフォトレジストという感光材料を塗ります。次にマスクの像を光で写し、必要な加熱などを挟み、現像液で一部を取り除きます。図は、光が当たった部分が現像で取れる「ポジ型」の説明です。

ここで出来るのは、下の材料の加工場所を選ぶための模様です。露光装置だけでなく、塗布現像装置、レジスト、関連薬液、マスク、位置合わせの計測が一緒に働きます。次のエッチングで、この開口部を使って下の膜を加工します。

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露光
光を当て、感光する材料の性質を必要な形に変える工程。光で直ちにシリコンへ溝を掘るわけではない。
フォトレジスト
光などの照射で薬液への溶けやすさ等が変化する感光材料。ウェーハに塗り、加工したい場所を選び分けるために使う。
リソグラフィ
回路の形を、光などで感光膜へ写して加工位置を決める技術。計算リソグラフィは、光学・材料・加工の影響を計算して狙いの形へ近づける手法。
現像
光を当てた後、溶けやすさの変わった感光膜の一部を薬液で取り除き、残す部分と開口部を作る工程。
ポジ型/ネガ型
レジストの分類。一般にポジ型は光が当たった部分が現像で取れ、ネガ型は光が当たった部分が残る。
プリベーク/PEB
ベークは加熱処理。プリベークは主に塗布後の溶剤除去など、PEB(Post-Exposure Bake)は露光後の反応調整などを目的とする。
DUV/EUV
露光に使う光の区分。DUVはDeep Ultraviolet(深紫外線)、EUVはExtreme Ultraviolet(極端紫外線)。半導体用EUVは波長13.5nmで、反射型の光学系を使う。
CD・重ね合わせ(Overlay)
CD(Critical Dimension)は線幅などの重要寸法。重ね合わせは今回作る模様を既存の層へ正確に合わせること。細く作れても位置がずれると接続できない。

この工程を担う企業

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代表例を工程・製品の役割で配置しています。掲載順は市場シェアや優劣の順位ではなく、企業間の供給関係を断定するものでもありません。

仕組みとビジネスを、もう一段詳しく

EUVだけで全てを作るわけではない

必要な形や精度に合わせ、複数波長の光学露光などを使い分けます。EUVの採用拡大を、DUVやそれに関連する全材料が不要になることと読み替えないでください。

2nmは何の寸法?

現在のノード名は製造技術の世代を示します。全ての線が2nm幅という意味ではなく、メーカー間で同じ物理寸法を保証する数字でもありません。性能・消費電力・面積と量産実績を分けて見ます。

レジストの上流にいる企業

東洋合成は感光性材料、大阪有機化学は樹脂のもとになるモノマー等、ダイトーケミックスは感光性・電子材料の合成に接点があります。完成レジストメーカーの採用と、その原料構成を別の段階として追います。

理解を確かめる:露光で光が当たると、シリコンに直接溝が掘られる?

この例では違います。光はレジストの性質を変え、現像で開口を作ります。下の材料を取り除くのは次の加工です。

出典・確認範囲

工程の説明と企業の製品情報に用いた資料です。関連企業の掲載は、特定の顧客への採用・取引額・供給比率を意味しません。

09 / 18回路を作る

不要な材料を選んで取り除く

保護した部分を残し、開いた部分を加工する。薬液や反応性のガスで、狙った形を作ります。

第7〜13章は基本操作を学ぶ順番です。実際は構造に応じて順序・回数を変え、洗浄・計測等を挟んで繰り返します。

受け取るもの保護パターン付きウェーハ
この工程の仕事開いた部分の材料を除去
次へ渡すもの狙った溝・穴・形状
01 保護と開口残す場所をマスクで覆う
01 保護と開口。残す場所をマスクで覆うシリコンの土台
02 下の膜を除く深さと横方向を管理
02 下の膜を除く。深さと横方向を管理シリコンの土台
03 保護膜を除去狙った形が下地へ移る
03 保護膜を除去。狙った形が下地へ移るシリコンの土台保護膜を取り除いた状態

理解のために形・寸法・工程を単純化した模式図です。特定製品の製造レシピや採用品を示しません。

エッチングは不要な材料を取り除く加工です。薬液を使うウェット方式、ガスやプラズマを使うドライ方式などがあり、形状や材料に応じて使い分けます。ダイシングのように刃でチップを切り分ける工程とは違います。

狙った深さへ加工しながら、下の膜や隣の構造を傷めないことが大切です。深く細い穴、薄い層だけの除去、加工後の残りかすを抑えることなどが難しさになります。図は単純化した一つのパターン転写例です。

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エッチング
残したい部分を保護し、不要な材料を薬液や反応性ガスなどで取り除く加工。単に機械の刃で削ることとは異なる。
アスペクト比
穴の深さや柱の高さを、幅で割った比率。深さ100・幅10なら10。高いほど「細くて深い/高い」形になり、加工や均一な成膜が難しくなる。
プラズマ
気体の一部が、電気を帯びた粒子と電子に分かれた状態。反応しやすい粒子などを生み、成膜や材料除去に使う。
ドライ/ウェットエッチング
ドライは主に反応性ガスやプラズマ、ウェットは薬液を使って材料を除く方式。方向性、対象材料、損傷などに応じて使い分ける。
選択比
取りたい材料と残したい材料の加工速度の比。例えば対象膜を10、下の膜を1の速さで削るなら10対1。高いほど下の材料を残しやすい。
残渣/ボイド
残渣(ざんさ)は加工後に残った不要物。ボイドは埋めるべき部分などに生じた空隙。どちらも電気接続や信頼性を損なう原因になり得る。

この工程を担う企業

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代表例を工程・製品の役割で配置しています。掲載順は市場シェアや優劣の順位ではなく、企業間の供給関係を断定するものでもありません。

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選択比とは?

取りたい膜と残したい膜で、加工速度の差をつける考え方です。対象を速く削れても、下の材料まで同じように削れては使えません。加工速度だけでなく、材料の選び分けが競争力になります。

3D NANDは層数だけでは読めない

層が増えると成膜・深穴加工の負荷が増えます。一方、ウェーハ1枚から得る記憶容量も変わります。最終的には、良品の記憶量と総コスト、採用工程をそろえて評価します。

理解を確かめる:エッチングが速い装置なら、それだけで優れている?

速度に加え、必要な形、材料の選択性、損傷、ばらつき、良品率を満たす必要があります。

出典・確認範囲

工程の説明と企業の製品情報に用いた資料です。関連企業の掲載は、特定の顧客への採用・取引額・供給比率を意味しません。

10 / 18回路を作る

電気の流れ方を調整する

少量の元素を加え、熱で働きを整える。形を作るだけでなく、電流を制御する性質を作り込みます。

第7〜13章は基本操作を学ぶ順番です。実際は構造に応じて順序・回数を変え、洗浄・計測等を挟んで繰り返します。

受け取るもの電気特性を作る領域
この工程の仕事添加・熱処理・活性化
次へ渡すもの制御された電気的な性質
01 添加する量・深さ・位置を調整
01 添加する。量・深さ・位置を調整シリコンの土台
02 熱で整える傷みの回復と活性化
02 熱で整える。傷みの回復と活性化シリコンの土台熱処理
03 素子の働きへゲート電圧で電流を制御
03 素子の働きへ。ゲート電圧で電流を制御シリコンの土台ゲートソースドレイン単純化した平面断面

理解のために形・寸法・工程を単純化した模式図です。特定製品の製造レシピや採用品を示しません。

イオン注入は、電気を帯びた原子などを加速して半導体へ打ち込む工程です。加える量や深さを変えることで、電気の通り方を調整します。ここでいう添加物は、取り除くべき汚れではなく設計上必要なものです。

注入後などの熱処理では、結晶の傷みを回復し、添加した元素を電気的に働ける状態へ整えます。トランジスタでは、このような領域や絶縁膜、ゲート電極を組み合わせ、電圧によって電流を制御します。

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ゲート/ソース/ドレイン/チャネル
MOSFETの基本構造。ゲートは電流を制御する電極、ソースとドレインは電流経路の両端、チャネルはその間にできる電流の通り道。
MOSFET
Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor。絶縁膜を挟んだゲートの電圧で、ソースとドレインの間に電流を流す・止めるトランジスタ。
n型/p型/正孔
n型は主に電子、p型は主に正孔が電流を運ぶ材料。正孔は電子の空席を正の電荷のように扱う考え方。「n+」の+は通常、添加濃度が高いことを表す。
ドーピング
半導体へ少量の別元素を意図的に加え、電気の通し方を調整すること。ここでの「不純物」は設計上必要な添加物も含み、汚れとは限らない。
熱処理/アニール
材料を加熱して、結晶の傷みの回復、添加物の働きの調整、膜の性質の改善などを行う工程。
イオン注入
電気を帯びた原子などを加速して半導体へ打ち込み、添加物の深さや量を調整する工程。後の熱処理と組み合わせて電気特性を作る。
拡散/活性化
拡散は原子が材料内を移動して分布が変わること。活性化は添加した元素を電気的に働ける状態にすること。熱処理で両方が起こり得る。

この工程を担う企業

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平面型・FinFET・GAAの違い

微細化で電流を止めにくくなると、立体的な構造でゲートが電流の通り道を囲う方法を使います。GAAでは周囲を囲って制御します。ただし、図の単純な平面断面だけで全ての先端素子の製法を説明できるわけではありません。

熱をかければよい、とは限らない

高い温度は必要な反応を進める一方、すでに作った層や添加物の分布を変えることがあります。何度で、どれだけの時間、どこへ熱をかけるかが重要です。

理解を確かめる:半導体で「不純物を入れる」は、製造の失敗?

意図した元素を必要量加えるドーピングは、電気特性を作るための工程です。汚染として混入する不純物とは区別します。

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11 / 18回路を作る

洗って、次の加工面を整える

微小な汚れでも不良につながる。残りかすを除きながら、細い構造を壊さずに乾かします。

第7〜13章は基本操作を学ぶ順番です。実際は構造に応じて順序・回数を変え、洗浄・計測等を挟んで繰り返します。

受け取るもの加工後の表面
この工程の仕事薬液・超純水で除去し乾燥
次へ渡すもの次工程に適した清浄な表面
01 汚れや残りかす微小な異物も問題になる
01 汚れや残りかす。微小な異物も問題になるシリコンの土台
02 対象に合わせて除去薬液・水・表面の相性
02 対象に合わせて除去。薬液・水・表面の相性シリコンの土台
03 壊さず乾かす次工程へ渡す
03 壊さず乾かす。次工程へ渡すシリコンの土台粒子・残渣を除去

理解のために形・寸法・工程を単純化した模式図です。特定製品の製造レシピや採用品を示しません。

加工後には、粒子、金属、有機物、不要な膜の残りが生じることがあります。洗浄は、それらを取り除いて次の工程へ渡すための加工です。完成後に一度洗うのではなく、多くの工程の前後で繰り返します。

使う薬液や超純水の品質、流し方、温度、乾燥方法を制御します。微細な構造では、液体を乾かすときの力で形が倒れることもあるため、単に強く洗うだけでは解決しません。

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残渣/ボイド
残渣(ざんさ)は加工後に残った不要物。ボイドは埋めるべき部分などに生じた空隙。どちらも電気接続や信頼性を損なう原因になり得る。
超純水
イオン、粒子、有機物などを極めて少なくした水。汚染に弱い半導体の洗浄などに使う。
チャンバークリーニング
チャンバーは加工を行う装置内部の部屋。チャンバークリーニングは壁などへ付着した膜・汚れを除き、加工状態を保つ作業。
枚葉/バッチ
枚葉(まいよう)はウェーハを基本的に1枚ずつ処理する方式、バッチは複数枚をまとめて処理する方式。処理速度や均一性などを考えて使い分ける。

この工程を担う企業

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工場の水と装置の洗浄機は別

オルガノや栗田工業などは、超純水を作り供給・管理する設備やサービスを担います。SCREENなどは、その水や薬液を使ってウェーハを加工する装置を担います。

関東化学と関東電化工業を混同しない

関東化学は高純度薬品・プロセス薬液等、関東電化工業はフッ素系などの特殊ガス等に特色があります。似た社名でも別会社であり、使われる工程も製品ごとに確認します。

理解を確かめる:洗浄は、半導体が完成した最後にだけ行う?

多くの加工の前後で繰り返します。次の成膜・接合などの結果にも影響するため、工程途中の重要な加工です。

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12 / 18回路を作る

回路をつなぎ、表面を平らにする

素子だけでは働かない。金属の道を何層も作り、信号と電源が届くようにつなぎます。

第7〜13章は基本操作を学ぶ順番です。実際は構造に応じて順序・回数を変え、洗浄・計測等を挟んで繰り返します。

受け取るもの素子と接点があるウェーハ
この工程の仕事絶縁膜・金属配線・平坦化を反復
次へ渡すもの信号と電源でつながった回路
01 溝と穴を用意絶縁膜に配線の場所を作る
01 溝と穴を用意。絶縁膜に配線の場所を作るシリコンの土台
02 金属で埋める表面にも余分な膜が付く
02 金属で埋める。表面にも余分な膜が付くシリコンの土台
03 余分な金属を除くCMPで平らにし次の層へ
03 余分な金属を除く。CMPで平らにし次の層へシリコンの土台余分な表面の金属を除去

理解のために形・寸法・工程を単純化した模式図です。特定製品の製造レシピや採用品を示しません。

図は、絶縁膜に溝や穴を作り、金属で埋め、表面の余分な金属を取り除く代表例です。CMPは薬液の化学作用と研磨の機械作用を組み合わせ、次の層を作れる面へ整えます。

素子を作る段階がFEOL、素子と配線の接点などがMOL、金属配線を重ねる段階がBEOLです。BEOLという名前に「Back End」があっても、チップを組み立てる後工程とは別で、ウェーハ上の回路形成に含まれます。

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配線
素子や端子の間へ信号・電源を運ぶ金属の通り道。半導体内部では、多数の細い配線を何層にも分けて作る。
FEOL
Front End of Line。ウェーハ上でトランジスタなどの素子を作る段階。日本語でいう前工程の、さらに前半側を指す。
MOL
Middle of Line。作った素子を、その上の金属配線へつなぐ接点などを形成する段階。境界の定義は企業・技術によって少し異なる。
BEOL
Back End of Line。素子をつなぐ多層の金属配線を作る段階。「Back End」とあっても、組立・封止の後工程ではなく、ウェーハ前工程の一部。
ビア
上下の配線や構造を電気的につなぐための穴・接続部分。穴に金属を入れるなどして導通させる。
コンタクト
素子と金属配線などを電気的につなぐ接点。小さくしても電流が流れやすい接点を作ることが重要。
接触抵抗・配線抵抗
抵抗は電流の流れにくさ。接触抵抗は材料が接する部分、配線抵抗は金属の通り道で生じる抵抗で、損失や遅延の原因になる。
CMP
Chemical Mechanical Polishing(Planarizationともいう)。薬液による化学反応と研磨材の機械的作用を併用し、表面の余分な膜や凹凸を取り除く工程。
研磨パッド/スラリー
研磨パッドは表面をこする側の部材。スラリーは微粒子や薬液を含む研磨用の液体。両者と加工条件の組合せで仕上がりが変わる。
ダマシン
先に絶縁膜へ溝や穴を作り、そこを金属で埋め、表面の余分な金属をCMPで除く配線形成法。

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CMPと裏面を薄くする研削は違う

CMPは回路形成面の余分な膜・凹凸を整える工程。後の第15章では主にウェーハ裏側を削り、全体の厚みを薄くします。装置名に研磨が含まれていても、加工の目的を分けてください。

研磨液とパッドも別の商品

スラリーは粒子や薬液を含む液体、パッドは接触して研磨する部材です。フジミ、富士フイルム、レゾナックなどの材料を、用途・膜種で確認します。扶桑化学のシリカは配合原料側の役割です。

理解を確かめる:BEOLは、切り出したチップを樹脂で包む工程?

違います。BEOLはウェーハ上の金属配線形成です。組立・封止は後の章で扱います。

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13 / 18回路を作る

途中で測り、異常を見つける

寸法や膜厚を測る。異物や断線の兆候を探す。最後まで作ってから不良に気づくことを減らします。

第7〜13章は基本操作を学ぶ順番です。実際は構造に応じて順序・回数を変え、洗浄・計測等を挟んで繰り返します。

受け取るもの加工途中のウェーハ・マスク
この工程の仕事寸法・位置・欠陥を確認
次へ渡すもの工程へ戻す品質情報
01 異常を探す欠陥の場所を捉える
01 異常を探す。欠陥の場所を捉える異常
02 細部を測る線幅・厚さ・形状を確認
02 細部を測る。線幅・厚さ・形状を確認シリコンの土台幅を測る
03 工程へ戻す原因を解析し条件を見直す
03 工程へ戻す。原因を解析し条件を見直す変動を見て条件を見直す

理解のために形・寸法・工程を単純化した模式図です。特定製品の製造レシピや採用品を示しません。

計測は線幅や膜厚、位置ずれなどを数値として捉えること。欠陥検査は、異物やパターン異常を見つけることです。電子線、光、X線など、対象に合った手段を使います。実際にはこの章の位置に一度だけ置かれるのではなく、工程の途中に何度も入ります。

マスクの欠陥を調べる装置と、ウェーハ上の形状を測る装置と、電気を流して機能を確かめるテスターは、目的が違います。企業比較では「何を、どの工程で、どの速さと精度で調べるか」をそろえます。

この章のことばを確認する
歩留まり
投入したもののうち、決められた品質条件に合格した良品の割合。例えば100個中90個が合格すれば90%。どの工程の合格率かを区別する。
CD・重ね合わせ(Overlay)
CD(Critical Dimension)は線幅などの重要寸法。重ね合わせは今回作る模様を既存の層へ正確に合わせること。細く作れても位置がずれると接続できない。
テスター/ATE
電気信号を与えて半導体の動作・特性を測る試験装置。ATEはAutomatic Test Equipment(自動試験装置)の略。
プローバ/プローブカード
プローバはウェーハを位置決めし試験用接点へ接触させる装置。プローブカードは多数の微小接点を持つ接触部材で、テスターと回路をつなぐ。

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仕組みとビジネスを、もう一段詳しく

歩留まりは、良品になった割合

100個を投入し、仕様に合うものが90個なら90%。ただし、素子・ウェーハ電気試験・積層・最終出荷など、どの段階かを区別します。欠陥の多寡と最終電気特性も完全に同じ指標ではありません。

検査の価値は不良を発見するだけではない

異常を早く見つければ、その後の加工費や高価な部材を無駄にしにくくなります。ただし、検査に時間を使いすぎれば生産能力を圧迫するため、検出能力と処理速度の両立が必要です。

理解を確かめる:レーザーテックの検査装置とアドバンテストのテスターは同じ用途?

対象が違います。マスク等の欠陥を光などで調べることと、半導体に電気信号を与えて動作を確かめることを分けます。

出典・確認範囲

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14 / 18切って、組み立てる

円板のまま電気を流して試す

まだ切り分けていない回路に接触し、動くかどうかを調べる。組立に進めるダイを選びます。

受け取るもの回路ができたウェーハ
この工程の仕事接触・信号入力・応答測定
次へ渡すものダイごとの合否・特性情報
01 接点へ合わせるプローバで位置と温度を管理
01 接点へ合わせる。プローバで位置と温度を管理プローブカード位置を合わせて接触
02 信号を与え測るカードを介してテスターと接続
02 信号を与え測る。カードを介してテスターと接続試験機信号・応答
03 良品候補を選ぶ切断・組立へ試験結果を渡す
03 良品候補を選ぶ。切断・組立へ試験結果を渡す色は試験結果の区分

理解のために形・寸法・工程を単純化した模式図です。特定製品の製造レシピや採用品を示しません。

プローバはウェーハの位置を合わせる装置。プローブカードは微小な接点の集まり。テスターは信号を与え、応答を測る装置です。3つが組み合わさってウェーハ上の回路を試験します。

測定結果はどのダイが合格したかを示すマップなどとして、後の選別・組立へ渡します。既知良品ダイ(KGD)は所定の試験に合格したという意味で、将来の故障が全て排除されたという意味ではありません。

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ダイ
ウェーハ上に作る、1個分の回路領域。または切り分けた後の小片。チップも近い意味で使うが、完成した電子部品全体を指す場合もある。
KGD・既知良品
Known Good Die。組立前の試験で、必要な仕様に合格したと判断したダイ。すべての将来故障を完全に否定した、という意味ではない。
ウェーハソート
切り分ける前のウェーハ上で、各ダイの電気特性などを確認し選別する試験。外観の欠陥検査とは異なる。
テスター/ATE
電気信号を与えて半導体の動作・特性を測る試験装置。ATEはAutomatic Test Equipment(自動試験装置)の略。
プローバ/プローブカード
プローバはウェーハを位置決めし試験用接点へ接触させる装置。プローブカードは多数の微小接点を持つ接触部材で、テスターと回路をつなぐ。
カバレッジ/グレード選別
試験カバレッジは、想定する動作・故障などをどこまで試験で確認できるかという範囲。グレード選別は速度や消費電力などの測定結果で製品を区分すること。

この工程を担う企業

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同じテスト需要でも売上の形は違う

アドバンテストはテスター、東京精密などはプローバ、日本マイクロニクスと日本電子材料はプローブカード、テラプローブは試験の受託に接点があります。設備、製品ごとの接触部材、実作業の受託を分けます。

積層が進むほど、組立前の選別が大切

高価なダイを複数積んだ後に不良が見つかると、他の良品も含めて損失になり得ます。そのため、組立前の試験と積層後の試験を両方設計する必要があります。

理解を確かめる:プローブカードは、テスターの別名?

違います。プローブカードは回路の電極へ触れる接点を持つ部材で、テスターとの電気的な橋渡しをします。

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15 / 18切って、組み立てる

薄くして、一個ずつに切り分ける

多数の回路が載る円板から、小さなダイを取り出す。薄い部材を壊さず扱う技術も必要です。

受け取るもの試験を終えたウェーハ
この工程の仕事支持・薄化・個片化・取り出し
次へ渡すもの組立に使う薄いダイ
01 保護して支える加工する裏面を露出
01 保護して支える。加工する裏面を露出回路面は下側で保護
02 裏側を薄くする反り・割れ・厚さを管理
02 裏側を薄くする。反り・割れ・厚さを管理回路面は下側で保護
03 個片へ切り分ける取り出して組立へ
03 個片へ切り分ける。取り出して組立へダイを一個ずつ取り出す

理解のために形・寸法・工程を単純化した模式図です。特定製品の製造レシピや採用品を示しません。

薄化はウェーハなどの厚みを減らす加工、ダイシングは一個ずつへ切り分ける加工です。支持テープや仮接着を使って保護しながら、砥石、刃、レーザーなどを使い分けます。

図は「薄化してから切り分ける」代表的な理解の順番です。製品によっては先に切り込みを入れるなど順序が異なります。回路や薄いダイの端部を傷めず、次の接合へ渡すことが目的です。

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薄化
ウェーハやダイの裏側などを削り、厚みを薄くすること。積層しやすくなる一方、反りや破損への対策が必要。
ダイシング
ウェーハなどを1個ずつのダイ・部品へ切り分ける工程。刃やレーザーなどを使う。個片化も同じ趣旨の言い方。
ダイボンド/ダイアタッチ
切り出したダイを基板や支持部材などへ固定する工程・技術。電気接続まで同時に行うかは方式によって異なる。
ウェーハマウント
ウェーハを保護・支持用のテープやフレームへ固定すること。ダイを最終的な基板へ固定するダイアタッチとは段階が違う。
仮接着/支持体
支持体は加工中の薄い部材を支える土台。仮接着は加工が終われば剥がせる形で一時固定すること。完成品に残る永久接着とは目的が異なる。
ピックアップ
切り分けたダイをテープなどの支持体から取り上げ、次の組立工程へ渡すこと。薄いダイを傷めず取り出す技術が必要。
ダイアタッチフィルム
ダイを基板などへ接着する薄いフィルム状材料。加工中だけ支える保護テープと違い、完成品の内部に残る使い方がある。

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ダイアタッチとウェーハマウント

ウェーハを加工用のテープ・フレームへ固定するのがウェーハマウント。ダイを最終的な基板などへ固定するのがダイアタッチです。同じ「貼る」でも、仮の支持と完成品の組立は違います。

HBMで薄化が重要な理由

何枚も積むには一枚の厚みが制約になります。一方、薄くすると割れや反り、扱いにくさが増します。研削装置だけでなく、仮接着、保護、搬送、取り出し、検査までつながる需要です。

理解を確かめる:ディスコの売上を、装置の新規受注だけで説明してよい?

砥石やブレードなどの加工ツール、サービスにも接点があります。新規投資と既存設備の加工量を分けて見ます。

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16 / 18切って、組み立てる

ダイを固定し、つないで保護する

裸のダイを、外へ電気と熱を渡せる部品にする。パッケージは単なる保護の箱ではありません。

受け取るものダイ+基板・接続材料
この工程の仕事固定・電気接続・封止
次へ渡すもの外部と接続できるパッケージ
01 ダイを固定支持体と接着材
01 ダイを固定。支持体と接着材ダイ外部へつながる支持体
02 端子をつなぐ図はワイヤーボンド方式
02 端子をつなぐ。図はワイヤーボンド方式ダイ外部へつながる支持体
03 保護して完成形へ信号・電源・放熱を確保
03 保護して完成形へ。信号・電源・放熱を確保封止材による保護外部へつながる支持体

理解のために形・寸法・工程を単純化した模式図です。特定製品の製造レシピや採用品を示しません。

ダイを基板や金属の支持体へ固定し、細いワイヤーや面上の接点で外部端子へつなぎ、樹脂などで保護します。図はワイヤーボンドの代表例。回路面を下にして接続するフリップチップなど、別の方式もあります。

組立を受託するOSAT、接合・封止装置を供給する企業、基板を作る企業、接着材・封止材を売る企業が協働します。基板用の絶縁フィルムと、配線を作り込んだ完成基板も別の商品です。

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実装
ダイや部品を所定の場所へ取り付け、電気的・機械的につなぎ、使える形にすること。単に「箱へ入れる」作業ではない。
OSAT
Outsourced Semiconductor Assembly and Test。半導体の組立と検査を受託する企業。回路をウェーハへ作る会社とは役割が異なる。
パッケージ
ダイを保護し、外部との電気接続や放熱を担う構造。先端パッケージは、複数ダイの高密度な接続などを実現する高度な組立技術を含む。
基板
回路や部品を作る・載せるための土台。材料工程の「半導体基板」と、組立で使う「パッケージ基板」は別物なので、文脈を区別する。
封止
樹脂などでダイや接続部を保護し、湿気・汚れ・外力などの影響を抑えること。必要な保護の範囲や材料は製品ごとに違う。
アンダーフィル
ダイと下側の構造などの狭い隙間を埋め、接合部にかかる力を分散して保護する材料。主に樹脂系で、封止材の一種。
BT材料
ビスマレイミド・トリアジン系樹脂を使う基板用材料の系統。樹脂を含む積層材料であり、完成した配線基板そのものではない。
ABF
Ajinomoto Build-up Film。味の素の、基板の配線層どうしを絶縁するフィルム状材料。これ自体が完成したパッケージ基板ではない。
ワイヤーボンド
ダイの端子と外部へつながる端子を、細い金属線で結ぶ接続方式。その金属線がボンディングワイヤ。
フリップチップ
ダイの回路面を下向きにし、面上に並べた端子で下の基板などへ接続する方式。周辺の金属線を使う方式と区別する。
モールド
型などを使い、樹脂でダイや接続部を包んで保護する封止方法。すべてのパッケージが同じ範囲を同じ樹脂で覆うわけではない。
BGA/FC-BGA
BGAはBall Grid Arrayで、底面へボール状端子を格子状に並べたパッケージ。FC-BGAは内部のダイ接続にフリップチップを使うBGA。

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仕組みとビジネスを、もう一段詳しく

日本企業の位置を、断面で分ける

イビデン・新光電気は完成パッケージ基板、味の素のABFは基板内の配線層を絶縁する材料、三菱ガス化学はBT系積層材料、ナミックスなどは接合部を保護する樹脂、TOWAは封止装置です。同じ完成品へ関与していても売るものが異なります。

全ての製品を同じように樹脂で包む?

接続、熱、気密、サイズの要求によって構造が変わります。ワイヤーボンドが全製品で必須ではなく、金属リードを成形する工程も全パッケージ共通ではありません。

基板内の配線とチップ内の配線

どちらも導体と絶縁体を重ねますが、寸法、材料、製造主体が異なります。ABFはウェーハの土台でも、完成基板そのものでもありません。

理解を確かめる:味の素はイビデンと同じ完成基板を売っている?

役割が違います。ABFは配線層を絶縁するフィルム材料で、基板メーカーは材料を組み合わせて配線と接続機能を持つ基板へ仕上げます。

出典・確認範囲

工程の説明と企業の製品情報に用いた資料です。関連企業の掲載は、特定の顧客への採用・取引額・供給比率を意味しません。

17 / 18切って、組み立てる

複数のダイを、横と縦につなぐ

大きな機能を複数のダイで実現する。演算回路とメモリを近づけ、たくさんの情報を短い経路で渡します。

受け取るもの良品の演算ダイ+HBM等
この工程の仕事高密度に接続・保護・放熱
次へ渡すもの複数ダイで働くシステム
01 メモリを縦に積むDRAMダイからHBMへ
01 メモリを縦に積む。DRAMダイからHBMへ複数のDRAMダイ縦の接続:TSVなど
02 演算とメモリを横接続中継配線を介してつなぐ
02 演算とメモリを横接続。中継配線を介してつなぐ演算HBM下側が中継配線の部材
03 基板と放熱を整える積層と横接続を組み合わせる
03 基板と放熱を整える。積層と横接続を組み合わせる演算HBM放熱・接続・支持をまとめる

理解のために形・寸法・工程を単純化した模式図です。特定製品の製造レシピや採用品を示しません。

HBMは複数のDRAMダイを積み重ねた広帯域メモリ。まずメモリ企業がDRAMを製造・選別し、積層してHBMを作ります。そのHBMとGPUなどを、細かな中継配線を持つ部材へ載せるのが、ここで示す2.5D実装の代表例です。

横につなぐ構造と、縦に積む構造を区別します。TSMCのCoWoS、IntelのEMIB、TSMCのSoICなどは、接続部材や積み方が異なり、組み合わせられる場合もあります。全てを一つの固定した製造順序へ当てはめないでください。

この章のことばを確認する
HBM
High Bandwidth Memory。複数のDRAMダイを積み、多数の信号線でデータをやり取りする広帯域メモリ。GPUなどの近くで大量データを供給するために使う。
TSV
Through-Silicon Via。シリコンの厚みを貫く、金属などによる縦方向の電気接続。積層ダイ間や、表面と裏面をつなぐために使う。
TCB/熱圧着
Thermo-Compression Bonding。位置を合わせた接続部へ熱と圧力を加えて接合する方法。接続用の突起そのものの名称ではない。
ハイブリッド接合
金属同士の電気的な接合と、絶縁膜同士の接合を組み合わせる方法。はんだの突起を介さず、非常に細かい間隔での接続を狙える。
CoWoS
Chip-on-Wafer-on-Substrate。複数のダイを高密度の配線でつなぎ、さらに外部接続用の基板へ載せるTSMCの実装技術群。S・R・Lの構造差は第6部で図解する。
2D/2.5D/3D
実装構造の区分。2Dは基板上に並べる、2.5Dは細かい中継配線を介して主に横につなぐ、3Dはダイ同士を縦に積む構造。実製品では併用もある。
SoIC
System on Integrated Chips。TSMCの、ダイを縦に積んで高密度に接続する3D集積技術群。CoWoSなどと併用できる。小文字lではなく大文字I。
EMIB
Embedded Multi-die Interconnect Bridge。必要な場所だけに小さなシリコンの配線部材を埋め、横に並ぶダイをつなぐIntelの技術。
バンプ/マイクロバンプ
接合部へ作る金属などの小さな突起。マイクロバンプは細かな接続に使う小型のバンプを指す。突起の形状の呼び名であり、接合法の名前ではない。
RDL
Redistribution Layer、再配線層。薄い絶縁層と金属配線で、端子の位置・間隔を変えたり、ダイ間をつないだりする構造。
インターポーザ
ダイと外部接続用基板の間で、細かな配線を中継する部材。ダイ間の接続や端子間隔の変換を担い、シリコン製とは限らない。
シリコンブリッジ
隣り合うダイをつなぐため、必要な場所だけに置く小さなシリコン製の配線部材。全面へ広げるインターポーザとは配置が違う。
チップレット
大きな機能を複数の小さなダイへ分け、高密度につないで1つのシステムとして使う設計の考え方、またはその構成ダイ。
CoWoS-S/R/L
CoWoSの構造区分。Sは主に全面シリコンの中継部材、Rは樹脂と再配線層、Lは再配線層と局所的なシリコン接続を組み合わせる。
TIM/リッド/ヒートスプレッダ
TIMはThermal Interface Material(熱界面材)で、接触面の隙間を埋めて熱を伝えやすくする。リッドはふた、ヒートスプレッダは熱を広い面へ逃がす部材。

この工程を担う企業

企業名を選ぶと枝ページが開きます

代表例を工程・製品の役割で配置しています。掲載順は市場シェアや優劣の順位ではなく、企業間の供給関係を断定するものでもありません。

仕組みとビジネスを、もう一段詳しく

CoWoS-S・R・Lを構造で覚える

Sは主にシリコンの中継部材、Rは樹脂と再配線層、Lは再配線層と局所的なシリコン接続を組み合わせます。ブランド名から直接コストや歩留まりの優劣を決めず、対象製品と仕様を確認します。

EMIBとCoWoS-Lの違い

どちらも局所的なシリコン接続を使いますが、従来EMIBは有機パッケージ基板内、CoWoS-LはRDLインターポーザ側にその部材を置きます。EMIB-Tなどの派生や製品別の構成差にも注意します。

HBMと3D NANDは何を積む?

HBMは別々に製造したDRAMダイを積層します。3D NANDは、一つのダイを作る段階で記憶セルを縦方向にも配置します。両方に積層という言葉が出ますが、工程も担当企業も異なります。

関連材料の保有と、特定製品への採用は別

この章の日本企業は、該当する用途の製品を持つ企業例です。特定のCoWoS製品へ採用された企業一覧でも、顧客別売上や供給シェアの推計でもありません。採用確認には個別の公式開示が必要です。

理解を確かめる:HBMを積み上げる工程と、HBMをGPUの横へ載せる工程は同じ?

別の工程です。前者は広帯域メモリを作り、後者はそのメモリと演算回路を一つのパッケージへ統合します。

出典・確認範囲

工程の説明と企業の製品情報に用いた資料です。関連企業の掲載は、特定の顧客への採用・取引額・供給比率を意味しません。

18 / 18使える部品へ

完成品を試験し、機器へ届ける

組み立てた後も、機能・速度・電力などを確かめる。仕様を満たす製品が、機器メーカーへ渡ります。

受け取るもの組み立てたパッケージ
この工程の仕事電気試験・仕様選別・出荷
次へ渡すもの機器で使える半導体
01 完成品を測る機能・速度・消費電力
01 完成品を測る。機能・速度・消費電力接点・温度・試験信号
02 仕様で選別合格品を出荷する
02 仕様で選別。合格品を出荷する仕様に合う製品を選ぶ
03 機器で使う他の部品とソフトを組み合わせる
03 機器で使う。他の部品とソフトを組み合わせる

理解のために形・寸法・工程を単純化した模式図です。特定製品の製造レシピや採用品を示しません。

最終電気試験では、完成したパッケージを接点へ接続して信号を与え、機能や電気特性を確かめます。温度・電圧などの負荷で初期不良を見つけるバーンインや、長期耐久性を調べる信頼性評価とは目的を分けます。実施内容は製品・用途によって異なります。

合格した半導体は、直接販売や商社・代理店などの経路で機器メーカーへ渡ります。基板へ載せ、ソフトウェアや他の部品と組み合わせて初めて、最初に決めた機能を提供できます。ここで製造の一本道がつながります。

この章のことばを確認する
バーンイン
温度や電圧などの負荷をかけ、初期故障を試験中に表面化させる方法。必要性や条件は製品・用途・顧客仕様で異なる。
信頼性試験
長期間の動作や温湿度・熱変化などへの耐性を評価する試験。今正常に動くかを見る電気試験とは目的が異なる。
カバレッジ/グレード選別
試験カバレッジは、想定する動作・故障などをどこまで試験で確認できるかという範囲。グレード選別は速度や消費電力などの測定結果で製品を区分すること。
KPI
Key Performance Indicator。事業や工程の進捗を追う主要な指標。半導体では投入量、良品数、歩留まり、稼働率などを目的に応じて選ぶ。

この工程を担う企業

企業名を選ぶと枝ページが開きます

代表例を工程・製品の役割で配置しています。掲載順は市場シェアや優劣の順位ではなく、企業間の供給関係を断定するものでもありません。

仕組みとビジネスを、もう一段詳しく

最後に、売上の生まれ方を整理

設計ソフト・IPは利用契約、設計会社は開発やチップ販売、ファウンドリは製造、装置会社は装置・保守、材料会社は使用材料、OSATは組立・試験、商社は流通・技術支援を通じて売上を得ます。企業によって複数のモデルを持ちます。

市場拡大と企業利益をつなぐ確認順

対象製品の需要、顧客の投資・投入量、必要工程数、採用率、単価、原価、設備負担の順に追います。材料では使用量の削減、装置では工程統合、基板では面積や歩留まりが相殺要因になり得ます。ここは分析上の考え方であり、個社の業績予想ではありません。

商社の売上規模を製造の付加価値と比較しない

商社は半導体の仕入れ代金を含む売上を持ち、設計支援や在庫・物流を提供します。製造会社の売上、商社の売上、最終機器の売上を単純合計すると、同じ部品を重ねて数えることになります。

理解を確かめる:半導体の最終需要が増えれば、全ての関連企業の利益が同じだけ増える?

増え方も時期も違います。担当工程、採用製品、売上の形、単価・原価・設備負担をそれぞれ確認する必要があります。

出典・確認範囲

工程の説明と企業の製品情報に用いた資料です。関連企業の掲載は、特定の顧客への採用・取引額・供給比率を意味しません。

次は企業の数字へ

工程を理解したら、装置・ウェーハ企業の計画と実績を比較できます。各レポートは記載の分析基準日現在の情報です。

半導体装置5社の計画と実績

SUMCOと競合の計画・実績比較

工程から枝を読む