SEMICONDUCTOR ATLAS

仕様からテープアウトまで:チップ設計の工程

設計・IP・需要

チップは設計図を一度書けば完成するわけではありません。機能、速度、電力、製造条件を少しずつ具体化し、間違いを探す工程を何度も往復します。ここでいう設計の前半・後半と、工場での前工程・後工程は別の区分です。

  1. 要求仕様・アーキテクチャ
  2. IP選定・RTL/回路設計
  3. 機能検証・DFT
  4. 論理合成
  5. 配置配線・物理検証
  6. サインオフ・テープアウト
  7. 試作・評価・顧客認定
  8. 量産
01 初歩から理解する

仕様とアーキテクチャを決める

最初に、何をどれだけ速く処理し、どの機器につなぎ、どの程度の電力とコストに収めるかを決めます。その条件をCPU、専用回路、メモリー、接続などに分担するのがアーキテクチャ設計です。性能だけを先に決めると、パッケージや冷却の条件を満たせないことがあります。

RTLはデジタル回路の動きを記述する

RTLでは、データをいつ保持し、どの論理で変換するかをハードウェア記述言語で表します。まだ実際の配線位置を描いたものではありません。シミュレーションや形式検証で仕様通りの動作かを確かめ、論理合成によってセルと接続の組合せに変換します。アナログ回路では別の設計・解析も必要です。

物理設計で面積・配線・電力を成立させる

配置配線ではセルの場所と配線を決めます。信号が間に合うか、電力供給が安定するか、製造規則に反していないかを検証します。同じ論理でも配置・配線次第で性能は変わり、修正が必要になります。ファウンドリーのプロセスに合う設計条件・モデルも使います。

サインオフとテープアウト

設計条件を満たしたことを最終確認するサインオフを経て、製造に渡すデータを確定するのがテープアウトです。ここで商用出荷が始まるわけではありません。試作、実機評価、製品認定、量産立ち上げへ進み、問題が見つかれば設計のやり直しが発生します。

製造後の検査を、設計段階から準備する

内部の回路は完成後に直接触れられないため、故障を観測しやすい仕組みを入れるDFTが必要です。設計時に正しく動くかを調べる検証と、工場で個々のチップの良否を調べるテストは役割が違います。チップレットでは、接続・熱・組合せの確認も増えます。

02 業績分析へ進む

売上は何で決まるか

設計サービス企業は契約に応じて開発料や工程の達成に対応した対価を得て、量産を扱う場合は製品収入も生じます。検収・収益認識は契約ごとに違うため、発表された開発案件をすぐ売上とせず、その会社の会計方針と案件段階を確認します。

費用と利益の構造

技術者、EDA・IP、計算資源、試作・マスク、評価に費用がかかります。仕様変更や再設計は追加費用だけでなく、売れる期間を失う機会損失にもつながります。

競争優位を見る

分析視点:複数IPと製造条件を統合し、一度で動く確度を上げる経験が価値になります。設計人員を増やすだけでは全工程の待ち時間は解消しません。

サイクルと時間差

顧客の開発着手は製品販売より前に起こります。EDAや設計受託の改善が、ウエハ投入・出荷と同じ四半期に出るとは限りません。

確認するKPI

  • 受注・設計中・テープアウト・認定・量産の件数と規模
  • 開発工数と再設計
  • NRE・量産売上の構成
  • 開発原価と案件採算
03 誤解しやすい点・取材の問い

読み違えやすいこと

  • テープアウトは量産売上の発生を意味する
  • 設計検証と製造テストは同じ工程
  • 先端ノードへの移行は既存設計を単純縮小すればよい

確認したい問い

  • 遅延は仕様変更・設計・製造・顧客認定のどこで起きているか
  • 追加工数を顧客へ請求できる契約か
  • 量産に進まない案件が開発費を回収できるか
  • 案件の段階と予定日の更新
  • 試作の再実施
  • 人員・ツールの制約
出典 Synopsys · 公式資料Synopsys · 公式資料Synopsys · 公式資料Synopsys · 公式資料Socionext · 公式資料NSW · 公式資料Siemens · 公式資料

初歩の説明は技術・事業の一般的な仕組みです。業績分析の欄は分析上の着眼点であり、個社の感応度を保証するものではありません。

この工程に関わる企業

日本東証: 9739

NSW

RTL設計・論理合成・レイアウト・LiteASIC・試作・量産支援

日本東証: 3841

ジーダット

アナログ回路・レイアウト設計・FPD設計・マスク・検証関連ツール・LSI設計支援

日本東証: 6526

ソシオネクスト

Solution SoC・自動車・データセンター・ネットワーク向けSoC

台湾TWSE: 3661

Alchip

フロントエンド・バックエンド設計・DFT・パッケージ・テスト・ターンキーASIC

米国NASDAQ: AIP

Arteris

FlexGen・Ncore・Network-on-Chip・Magillem

米国NASDAQ: CDNS

Cadence

Virtuoso・Innovus・検証・サインオフ・接続IP

台湾TWSE: 3443

Global Unichip

ASICターンキー・HBM・die-to-die IP・先端パッケージ統合

ドイツXETRA: SIE(親会社)

Siemens EDA

IC設計・検証ソフトウェア・検証ハードウェア・3D-IC統合・電子システム解析

米国NASDAQ: SNPS

Synopsys

設計・検証EDA・インターフェースIP・Ansysのマルチフィジックス解析

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