SEMICONDUCTOR ATLAS

SiC・GaN・InP:シリコンと異なる強みを持つ材料

ウエハ・材料

化合物半導体は一つの市場ではない。電力変換、高周波、光通信で求める性質が違い、基板から薄膜・デバイスへの分業も変わる。

  1. 用途に合う素材を選定
  2. 高品質結晶を製造
  3. 切断・研磨して基板へ
  4. エピ成長または薄層転写
  5. 顧客のデバイス工程で認定
  6. 量産・信頼性確認
01 初歩から理解する

化合物とは何か

シリコンは一種類の元素が基礎となる一方、SiCはシリコンと炭素、GaNはガリウムと窒素、InPはインジウムとリンを組み合わせる。材料ごとに電圧・周波数・光との相互作用に適性がある。すべてがシリコンの置き換えとして同じ速度で広がるわけではない。

SiCは基板とエピを分ける

SiCの結晶を成長させて切断・研磨した基板の上に、デバイスに適したエピ層を成長する。Wolfspeed、SiCrystal、SICC、TanKeBlue、SK siltron CSSなどの基板領域と、レゾナック等のエピ領域を分ける。企業によっては両方を行い、IDMが内製する場合もある。

大口径化と歩留まり

大きな基板は一枚から得られるチップ数を増やせるが、均一な結晶と低欠陥表面を得る難しさも増す。150mmから200mmへの移行では、基板・エピ・デバイス装置と顧客認定を合わせる必要がある。試作品の展示、サンプル供給、量産、黒字化を四つの異なる段階として見る。

GaN基板とGaN-on-Si

GaNそのものを基板にする方式と、シリコン等の別素材の上にGaN層を作る方式は異なる。三菱ケミカルのGaN基板の採用が、あらゆるGaNパワーデバイスの増産に同じように結び付くわけではない。基板素材、膜、用途を確認する必要がある。

InPと機能性基板

InPは光の発生・検出などにつながる材料で、JX金属などが基板を供給する。SoitecのSOIや貼り合わせSiCは、薄膜と支持基板を組み合わせて機能を作る考え方である。材料を大量に積むことだけが進歩ではなく、高価な結晶を薄く有効に使う技術もある。

02 業績分析へ進む

売上は何で決まるか

良品基板数量×価格、エピ加工数量×加工価値、内製デバイス販売を区別する。長期契約総額、預託金、顧客出資は違う。顧客資金による設備増強は販売先の結びつきを示すが、年間売上や利益を保証しない。

費用と利益の構造

結晶成長、硬い材料の加工、エピ成長、検査に費用がかかり、大型投資後に需要が弱ければ固定費負担が大きい。能力を急拡大すると材料価格低下が利益改善を相殺し得る。

競争優位を見る

材料欠陥を抑え、デバイス寿命・信頼性の要求を満たす能力。車載等の顧客認定と長期安定供給。

サイクルと時間差

EV需要などの成長率だけでなく、SiC採用率、車種構成、顧客内製化、流通在庫、基板の価格下落が効く。光通信向けInPと電力向けSiCは別に予測する。

確認するKPI

  • 径・用途別の良品数量
  • 欠陥・エピ/デバイス歩留まり
  • 契約引取りと実出荷
  • 顧客認定・量産比率
  • 設備稼働と現金消費
03 誤解しやすい点・取材の問い

読み違えやすいこと

  • 大口径の試作品発表は、その口径での量産黒字化を意味しない。
  • SiC市場成長率を全SiC材料会社の利益成長率へ置き換えない。

確認したい問い

  • 顧客は基板・エピ・デバイスのどこを内製するか
  • 良品歩留まり改善と価格下落のどちらが採算を支配するか
  • 前払い・出資・購入契約の条件変更リスクは何か
  • 200mmの量産認定
  • 中国勢の良品供給・価格
  • 顧客の内製化
  • SiC契約条件の見直し
  • 光通信向けInP需要
出典 SK siltron CSS · 公式資料レゾナック · 公式資料Soitec · 公式資料STMicroelectronics / ROHM · 2024-04-22三菱ケミカル · 公式資料JX金属 · 公式資料SICC · 公式資料TanKeBlue · 公式資料

初歩の説明は技術・事業の一般的な仕組みです。業績分析の欄は分析上の着眼点であり、個社の感応度を保証するものではありません。

この工程に関わる企業

日本東証:5016

JX金属

スパッタリングターゲット・InP基板・半導体・センサー材料

米国NYSE:COHR

Coherent

SiC基板・SiCエピウエハ

韓国非上場

SK siltron

シリコン研磨・エピウエハ・SiC基板・エピウエハ

フランスEuronext Paris:SOI

Soitec

RF-SOI・FD-SOI・Power-SOI・SmartSiC

米国NYSE:WOLF

Wolfspeed

SiC基板・SiCパワーデバイス・パワーモジュール

次に読む

マップ上で解説と企業を開く →