SEMICONDUCTOR ATLAS

半導体は何を計算し、何をつなぐのか

設計・IP・需要

CPU、GPU、NPUは仕事の分担を表す言葉。ファブレスやIDMは会社の運営形態を表す言葉で、別の分類軸です。製品の働きから入ると、同じAI需要でも恩恵を受ける会社が違う理由が見えてきます。

  1. 用途と必要な処理を決める
  2. 計算・記憶・接続を配分する
  3. 電力・コスト・供給条件を決める
  4. CPU・GPU・専用回路等を選ぶ
  5. ソフトウェアを含む実機で検証する
01 初歩から理解する

計算する回路にも得意・不得意がある

CPUは分岐や制御を含む多様な処理を扱い、GPUは多数の処理を並行して実行する場面で力を発揮します。NPU・AIアクセラレーターはニューラルネットワークの計算に合わせた回路です。名前だけで速度は決まらず、扱うデータ、計算精度、処理の並列性、ソフトウェアによって得意な仕事が変わります。

SoCは複数の機能をまとめた製品

SoCはCPU、メモリー制御、画像処理、通信などをまとめる考え方です。スマートフォンのSoCでは撮影・通信・省電力が重要ですが、データセンターでは大量データの処理や接続が重要になります。Armは組み込む設計IP、MediaTekは用途に合わせたSoC、Appleはそれを使う端末全体まで、異なる範囲を担います。

ASICとFPGAを使い分ける

ASICは用途や顧客に合わせて回路を作り込む方式です。FPGAは製造後も回路構成を設定できるため、仕様変更や少量・多品種に対応しやすくなります。固定回路の効率を取るか、変更の柔軟性を取るかが選択の出発点です。どちらもソフトウェア・設計支援と一緒に使います。

データを運ぶ時間も性能を決める

演算器が速くても、メモリーから必要なデータが来なければ待ち時間が増えます。SoC内部のNoC、チップ間の高速接続、サーバー間のネットワークはその待ちを減らす仕事です。AI設備は演算チップだけで完結せず、Rambus、Arteris、Marvell等の役割もこの流れから理解できます。

性能表を比べる前に仕事を揃える

TOPSやFLOPSは演算の能力を表しますが、数値形式、精度、疎なデータの利用、電力条件が違えば直接比較できません。分析では同じ処理・精度・応答時間を満たすのに必要なチップ、メモリー、電力、開発時間を比較します。理論値と実際の稼働時の性能も分けます。

02 業績分析へ進む

売上は何で決まるか

同じ計算機能でも、完成チップの販売、IPの利用許諾、クラウドの利用料、最終製品の販売という異なる形で収益になります。需要の最終額を各段階で足すと二重計上になるため、どの企業がどの付加価値を売っているかを先に定義します。

費用と利益の構造

専用回路は初期の設計・検証負担が大きい一方、大量利用で効率を回収できる可能性があります。単価差だけではなく、追加開発費を何個・何回の処理で回収できるかを考えます。

競争優位を見る

分析視点:回路性能に加え、使えるソフトウェア、互換性、製造・実装の実績が切替コストを生みます。

サイクルと時間差

PC、スマートフォン、産業機器、AI設備では投資判断の時期が違います。全製品を同じ半導体サイクルで予測せず、採用用途と顧客在庫を分けます。

確認するKPI

  • 処理条件を揃えた実効性能・電力
  • チップ単価とシステム総費用
  • 量産数量・稼働率
  • ソフトウェア移行の時間と費用
03 誤解しやすい点・取材の問い

読み違えやすいこと

  • AI処理が増えればすべてのGPU・ASICが同じ率で伸びる
  • TOPSが高ければ実際のアプリも速い
  • ファブレスは半導体の種類を表す

確認したい問い

  • 需要が増えている具体的な処理は何か
  • 演算・メモリー・接続のどこが制約か
  • 半導体の売上増が顧客の経済価値と整合するか
  • 性能比較の条件
  • 世代移行で増減する部品
  • 特定用途だけで成立する優位性
出典 AMD · 公式資料Arm · 公式資料Synopsys · 公式資料Synopsys · 公式資料Rambus · 公式資料Arteris · 公式資料Microsoft · 2026-01-26

初歩の説明は技術・事業の一般的な仕組みです。業績分析の欄は分析上の着眼点であり、個社の感応度を保証するものではありません。

この工程に関わる企業

日本非上場

EdgeCortix

SAKURA II・MERA・DNA・RAIDEN

日本非上場

Preferred Networks

MN-Core・AI計算基盤・AIソフトウェア・モデル

日本東証: 6702

富士通

FUJITSU-MONAKA・サーバー・ArmベースCPU

米国NASDAQ: AMD

AMD

EPYC・Ryzen・Instinct・Radeon

米国NASDAQ: GOOGL / GOOG

Alphabet / Google

TPU・Axion・Google Cloud計算サービス

米国非上場

Altera

FPGA・FPGA SoC・設計開発環境

米国NASDAQ: AMZN

Amazon / AWS

Graviton・Trainium・Inferentia・Nitro

米国NASDAQ: AMBA

Ambarella

低消費電力AI SoC・画像処理・エッジAIソフトウェア

米国NASDAQ: AAPL

Apple

端末向けSoC・CPU・GPU・Neural Engine・完成品デバイス

英国NASDAQ: ARM

Arm

Cortex・Neoverse・Mali・Ethos

米国NASDAQ: CEVA

Ceva

DSP IP・Bluetooth・Wi-Fi・UWB IP・NeuPro NPU・MotionEngine

台湾NASDAQ: HIMX

Himax

ディスプレイ・タッチIC・画像センサー・マイクロディスプレイ・ウエハレベル光学

台湾TWSE: 2454

MediaTek

Dimensity・Genio・Pentonic・Kompanio

米国NASDAQ: META

Meta

MTIA・推薦・ランキング計算・AIシステム

米国NASDAQ: MSFT

Microsoft

Maia・AzureのAI基盤・推論サービス

米国NASDAQ: NVDA

NVIDIA

GPU・AIサーバー・システム・CUDA等のソフトウェア・ネットワーク製品

米国NASDAQ: RMBS

Rambus

DDR DIMM用チップ・HBM・DDR等のIP・PCIe・CXL IP・セキュリティIP

米国NASDAQ: SYNA

Synaptics

Astra・接続IC・タッチ・ディスプレイIC

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