SEMICONDUCTOR ATLAS

半導体とは何か、産業をどう読むか

はじめに

半導体を一つの製品として見るのをやめ、機能・工程・事業形態の三つに分けるところから始める。

  1. 求める機能・用途を決める
  2. 回路を設計・検証する
  3. ウエハ上に回路を作る
  4. 切断・接続・封止・検査する
  5. 機器やシステムに組み込む
01 初歩から理解する

半導体材料と半導体製品は違う

半導体は、電気の流れ方を制御できる材料の性質を指す言葉であると同時に、その性質を使って作る電子部品の総称としても使われる。シリコンの円板であるウエハ、その上に回路を形成して切り出すダイ、外部と接続できる形にしたパッケージは、それぞれ工程の違う製品である。ウエハメーカーの売上を、そのまま完成したチップの販売額と足し合わせると中間投入を二重に数える。

機能で分ける

ロジックは計算・制御、メモリは情報の保存、アナログは連続的な信号の処理、パワー半導体は電力の変換・制御、センサーは外界の情報を電気信号へ変える役割を持つ。一つの電子機器に複数の種類が同時に使われる。MEMSは小さな機械構造を作る技術・製品の区分であり、ファブレスやIDMと並ぶ事業形態ではない。

事業形態で分ける

設計と製造を自社で行うのがIDM、設計した製品の製造を外部へ委ねるのがファブレス、他社の設計を受託して製造するのがファウンドリである。組立・検査を受託するOSAT、設計ソフトを提供するEDA、設計に組み込む回路資産を提供するIPも別の役割を担う。大企業は複数の役割を持ち、自社製造と外注を併用する場合もある。

同じ需要でも届く時点が違う

最終製品が売れる前に、設計、試作、顧客認定、量産能力の確保が必要になる。新工場向けの装置は投資局面に、材料や保守は実際の生産に、IPの使用料は契約や出荷の条件に応じて影響を受ける。『半導体需要が増える』だけでは、どの会社のどの年度の利益が増えるかは決まらない。

02 業績分析へ進む

売上は何で決まるか

分析の出発点は『誰に、何を、どの単位で売るか』。完成チップ、加工サービス、装置、材料、ライセンスでは売上の分解式が異なる。

費用と利益の構造

工場を持つ企業の減価償却、ファブレスの設計開発費、装置企業のサービス体制など、固定費の中身を確認する。

競争優位を見る

単なる企業規模ではなく、設計資産、顧客認定、歩留まり、保守拠点など工程固有の競争力を見る。

サイクルと時間差

最終需要の変化、流通在庫の増減、生産能力の増設が重なるため、各社の回復時点はそろわない。

確認するKPI

  • 数量の単位:個・枚・ビット・装置台数・契約件数
  • 対象となる工程・製品・顧客の構成
  • 受注・認定・出荷・検収の時間差
03 誤解しやすい点・取材の問い

読み違えやすいこと

  • 半導体はすべて先端ロジックで、微細なほど良いという理解。
  • 工場を持たない会社は投資・在庫リスクがないという理解。
  • 材料・装置・完成品の売上を合算して一つの市場規模とすること。

確認したい問い

  • 顧客のどの製品・工程に採用され、その売上はどの数量指標に連動するか。
  • 今回の増収は最終需要、在庫積み増し、単価、製品構成のどれで説明できるか。
  • 企業名より先に、その事業が供給する製品と販売単位を確認する。
出典 ASML · 公式資料ASML · 公式資料SIA · 公式資料

初歩の説明は技術・事業の一般的な仕組みです。業績分析の欄は分析上の着眼点であり、個社の感応度を保証するものではありません。

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